モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


 二人並んで歩きながら、会話はない。無言の時間も気まずくないのは、積み重ねた二年があるからなのだろうか。
 あかりは少しだけ感傷に浸りながら、さり気なく車道側を歩く半歩前の颯についていったのだ。
 
 だが、そんなセンチメンタルな気分も家につくまでだった。
 あかりの家について、冷蔵庫に入れている缶コーヒーを颯に渡して先程のことを話し出すと冷静ではいられなかった。

「警察辞めるってどういうことよ!?」
「そのまま。言葉通りだけど」
「颯さん警部補になったばかりじゃない!」
 敬語を使うことや名字や役職で呼ぶこともすっかり忘れて、あかりは颯を追求する。
 そんなあかりの態度に、颯は何かを考えるかのように目を細めた。

 あかりのバカ正直に真っ直ぐぶつかってくるところは、新人の頃から変わらない。
 颯はあかりをどこか眩しそうに見つめながら言葉少なに答える。
「そうだな」
 それに納得しないのは、あかりの方だった。更にヒートアップして、颯に問いただす。
「刑事になるのが夢だって……。だから機動隊にも所属したし、非番でも刑事課に顔出してたじゃん」
「うん」
 颯はコーヒーのプルタブを空けると一気に飲み干した。
 違和感はない。その姿は二ヶ月前まで当たり前に見ていた姿だから。
 その姿に、あかりは少しだけ頭が冷める。
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