モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


 だけどあかりはそのことを颯に言わなかった。言うのを諦めたのだ。
 もし、颯が「あかりに仕事を辞めろ」というと反論しただろう。
 けれど、彼は「自分が辞める」と言っているのだ。自分の価値観だから、と。
 それならあかりが言葉を重ねても無駄なこと。
 代わりにあかりは颯に訊ねた。

「なんで別れた今、そんな話するんですか。別れ話したときに何故言ってくれなかったんですか」
「それは……」
 颯は一瞬言い淀む。そして言いにくそうに話し始めた。

「……他の男が言い寄ってきているんだろ?」
 理貴のことだ。あかりはため息をついた。

(誰だ、颯さんの耳に入れたのは)
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