モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています

 
 こんなに照れている颯の顔は見たことがない。
 刑事としての仕事病か、普段から表情をあまり変えない颯なのに。
 今は感情がだだ漏れだ。
「颯さん……」
 初めてみる顔にあかりは呆然と名前を呼ぶしか出来なかった。
 付き合っていたら、こんな顔を見れたことも、愛の言葉を囁かれたことも素直に喜べたのに。
 今は戸惑いの方が勝るのだ。

 それでも。
 近づいてくる颯の顔をあかりは避けることが出来なかった。

 あと数センチ。
 あかりは息を飲んで、固く目をつぶった。
 フッと笑うように颯の口から息が漏れる。
 お互いの唇が掠めたその瞬間。

 突然、下の方から大きな音が鳴り響いたのだ。
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