モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


 だけど、このこってりした飲み物は、果たして自分に飲み干せるのだろうか。
 フラペチーノを無言で見続けるあかりに、理貴が「飲まないの?」と聞いてくる。
 ええい、なるようになれ、とあかりは躊躇いがちに口をつけると一気に吸い込む。
「うわっ!甘っ!!」
 叫んだあかりは自分のカバンから水を取り出しゴクゴクと飲んで口直しする。
 ふと顔を見ると、理貴はうつむきながら口に手を当ててぷるぷると肩を震わせている。
 あかりの方が背が低いのだ。笑いを堪えているなんて一目瞭然だ。

「……理貴」
 低い声で名前を呼ぶあかりに理貴はとうとう吹き出した。
 ますますブスッとするあかりに理貴は笑いながら自分のコーヒーを差し出した。
「交換しよ。このラテ、シロップ入ってないしまだ口つけてないから」
「いや、良いよ」
 さすがに申し訳ないし、聞いていなかったとはいえ頼んだのは自分だ。責任は最後まで持つ。
「僕が甘党なの、忘れた?」
 そう言って奪い取るようにあかりの手からフラペチーノを受け取ると、あかりの空いた手に自分が持っているアイスラテを押し付ける。
「うん、美味い」
 理貴が甘党なのは昔からだ。器用にストローの先でホイップを掬うと、一口食べて幸せそうな顔を見せる。
 今まで数回、夕飯を食べに行ったが、今日ほど美味しそうに食べている理貴は見たことがない。
 今日の理貴はなんだか感情豊かだ。
 童心に返ったかのようにフラペチーノを飲み、相好を崩している理貴に今度はあかりが吹き出す番だった。
「……なに?」
 理貴は憮然とあかりを見返す。その拗ねている顔も昔の面影を多分に残していた。あかりはますます声を上げて笑った。
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