モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています

 
(勘がいいのも考えもんだよ。理貴……)

 自分の話題のチェンジの仕方が下手くそなことを棚に上げて、あかりはため息をついた。
 逃さないという目をした理貴は、改めてあかりに問いかける。

「彼にプロポーズでも、された?」

 どうやらウヤムヤにはさせてくれないようだ。
隠すことでもないし、今言わなくても回り回って幸人の口から理貴に伝わるのも時間の問題だろう。そう考えたあかりは正直に答える。
「付き合っている時()なかったよ。……むしろ……それで別れた……ようなものだし」
 ことさら強調したわけではないのに、理貴はあかりの言い方に何かを察したようだ。

「じゃあなんでそんなに歯切れ悪いの?」
「……」
「別れた後、されたんだ?」
「……」
「そっか……。ならつい最近だよね?」
 あかりは返事をしない。それが答えだ。
 ただでさえ、人の心の機微を察するのに秀でている理貴だ。
 無言の答えで全てを理解したようだ。
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