モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


「んんっ!!」

 思わず声が漏れる。その声に理貴はますます調子に乗ったかのように、何度も執拗に舌を絡めようとする。

 (ちょ……まっ……!)


 どうしたらいいかわからないあかりが理貴の胸に手を押し当てた。と、同時に理貴の唇は離れる。
 始まった時と同じように唐突に終わったキスに、あかりはハァハァと肩で息をする。キスの間、息を止めていたから酸欠気味だったのだ。
 理貴はあかりを見つめている。先程まで見ていたのと同じ顔のはずなのに、あかりには別人のように感じてしまう。

「あかりちゃん」
 理貴が呼びかける。あかりは自分の体がピクリと反応するのを抑えきれなかった。
「なんで抵抗しなかったの?」
「なっ……」
 予想外の言葉にあかりは絶句する。

 あかりの内心を読んだかのように、理貴は言葉を重ねる。

「イヤなら、唇でも舌でも噛んだり、殴ったりして良かったのに」

 そういうと、理貴はフワッと微笑んだ。

「しなかった、ということは、僕にもまだ見込みはあるってことかな」
「ちょっ!……なんでそうなるのよ」

 ジト目で睨むあかりを気にすることなく、理貴は上機嫌だ。
 その勢いのまま、理貴は再度あかりに顔を近づける。

 またキスをされたら堪らない。あかりは、咄嗟に立ち上がり理貴から逃れようとする。立ち上がったあかりの手を理貴は掴んで静かに声を発した。
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