失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
『未可子も今が幸せなら、そんな元カレのこと気にする必要はないよ』
「うん」
返事をしたものの、対面だからか声のトーンからか、光希は眉をひそめた。
『どうしたの? お兄ちゃんとうまくいってない? なにかあった?』
「な、なにもないよ。光輝さんにはすごくよくしてもらっているの。ただ、すごく忙しい人だから、私、警察官の妻の心得とかもよくわからないし、なにも役に立てていなくて……」
申し訳ない。千恵さんならきっとそんなことないのに。
不安を吐露すると、画面の向こうからため息が聞こえてきた。
『未可子はさ、相手のために役に立たないと、返さないとっていう気持ちが強すぎるんだよ。そんなに気負わなくても、恋人や夫婦ってそばにいるだけで十分だって存在じゃない?』
だからってなにもしなくてもいいわけじゃないけどさ、と光希は続ける。
『警察官の妻の心得なんて、うちのお母さんもなかったよ。たしかに冠婚葬祭に関しては警察官専用の本があるほど、面倒なことも多いみたいだけどさ。結婚式場は警察御用達のホテルを指定され、参列者として呼ぶのはお父さんの同部署とどこの階級まで、とか。席順もきっちり決まっていて、多くのテーブルを占領されたわりに、結婚式前日に災害級の雨が降って、みんな派遣されて新郎側のテーブルがガラガラだったっていうのは今でも鷹本家の語り草だし』
その話は学生の頃から、幾度となくお義母さんからされたので私も知っている。
「うん」
返事をしたものの、対面だからか声のトーンからか、光希は眉をひそめた。
『どうしたの? お兄ちゃんとうまくいってない? なにかあった?』
「な、なにもないよ。光輝さんにはすごくよくしてもらっているの。ただ、すごく忙しい人だから、私、警察官の妻の心得とかもよくわからないし、なにも役に立てていなくて……」
申し訳ない。千恵さんならきっとそんなことないのに。
不安を吐露すると、画面の向こうからため息が聞こえてきた。
『未可子はさ、相手のために役に立たないと、返さないとっていう気持ちが強すぎるんだよ。そんなに気負わなくても、恋人や夫婦ってそばにいるだけで十分だって存在じゃない?』
だからってなにもしなくてもいいわけじゃないけどさ、と光希は続ける。
『警察官の妻の心得なんて、うちのお母さんもなかったよ。たしかに冠婚葬祭に関しては警察官専用の本があるほど、面倒なことも多いみたいだけどさ。結婚式場は警察御用達のホテルを指定され、参列者として呼ぶのはお父さんの同部署とどこの階級まで、とか。席順もきっちり決まっていて、多くのテーブルを占領されたわりに、結婚式前日に災害級の雨が降って、みんな派遣されて新郎側のテーブルがガラガラだったっていうのは今でも鷹本家の語り草だし』
その話は学生の頃から、幾度となくお義母さんからされたので私も知っている。