失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
 お義父さんは鷹本化成の社長令息でもあるので、ほとんどが新郎側の参列者テーブルとなり、お義母さんは圧倒されっぱなしだったらしい。光輝さんとの結婚式も同じようになる可能性もあるが、その覚悟はしている。

 光輝さんと光希のご両親は今でも仲睦まじい理想の夫婦だ。

『お兄ちゃんだってさ、顔がいいし優しいところもあるけれど、こちらの嘘も隠し事もあっさり見抜くし、理路整然とした話し方は聞いていて頭痛いときあるもの。彼女もそれなりにいたみたいだけれど、長続きはしていないんじゃないかな? まめな性格じゃないから。それなのに結婚はするつもりだって当然とばかりに言うのよ。どんな自信家よ』

 妹からの評価はなかなか辛辣だ。同意も否定もできず、苦笑する。

『だからね、お兄ちゃんが未可子を結婚相手に選んだの、すごくうれしかったんだ。もちろん、未可子の気持ちが一番だけれど』
 光希の言葉に心がじんわりと温かくなる。光輝さんだけじゃない、光希にも私はこんなに大切に思われているんだ。私は意を決す
る。

「私ね、学生の頃からずっと光輝さんに惹かれていたの。叶うわけないってあきらめていたけれど……。だから、光輝さんと結婚できて幸せなんだ」

 親友であり彼の妹である光希に、改めて告げるのはなんだか気恥ずかしい。でも言っておきたい。

 逆に、光輝さんが私に結婚を持ちかけた本当の理由だけは言えないから。

 光希は私の想いをからかうことなく、むしろうれしそうにしていた。

 それから職場の愚痴や、光希と彼の話など話題は尽きず、午後十時半過ぎまで盛り上がった。
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