失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
 いつも足を運ぶ見慣れた寝室なのに視線が異なるからか、彼に抱き上げられているからか、初めて入るみたいだ。

 光輝さんは私をそっとベッドに横たわらせると、ジャケットを脱ぎネクタイを緩める。暖色系のライトを背に、あまりにも艶っぽく様になるその仕草に目を奪われた。

 衣擦れの音が耳につき、腕時計をはずすのさえ絵になって、胸をときめかせる。ワイシャツのみとなった彼がそのまま覆いかぶさってきたので私たちの距離は縮まった。ベッドがふたり分の体重を受けて沈むのを背中で感じる。

「未可子」

 低く熱を孕んだ声と、色香を放つ表情に頭がクラクラする。唇を重ねられ、キスはすぐに深いものになり、どこか性急なのはどちらのせいでもない。

 彼の首に腕を回すと、背中に腕が忍び込まされ、軽く浮かされる。大きな手のひらがパジャマ越しに背中をなで、妙なもどかしさと心地よさを感じた。

 すると続けて彼の手がパジャマの裾からすべり込み、直に肌に触れる。
「あっ」

 小さな叫び声はすぐにキスでかき消された。丁寧に、でも遠慮なく彼の手は私の体をまさぐっていく。ほんのり湿った手のひらや乾いた指先の感触に鼓動は速くなる一方だ。

 私に触れながら、光輝さんは片手で器用に前のボタンをはずしていく。

 空気に晒された箇所が、寒いのか熱いのかわからない。彼の動きを助けるようにして体をずらし、あっさりとパジャマの上は脱がされた。

 ブラをつけておらず、心許なさと羞恥心で泣きそうだ。そんな私を再びベッドに押し倒すと、光輝さんはすばやく私の首筋に顔をうずめてきた。

 ちゅっと音を立てるとそこを中心に鳥肌が立つ。
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