失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
光輝さん――!
でも彼は今頃、千恵さんと……。
「未可子!」
名前を呼ばれ目を見開く。男性の注意がそちらに向き、手の力が一瞬緩む。彼のナイフを持つ手の矛先が、私からやって来た相手に変わる。そう認識できた自分に驚く。
時間にして数秒。男性が突き出したナイフをかわし、その手首を掴むや否やナイフが地面に落ちた音が届くのと同時に、低いうめき声をあげて男性が床に伏せた状態になっていた。
「午後六時三十七分。銃刀法違反の現行犯で逮捕する」
凛とした声で、男性の身柄を拘束したのは光輝さんだった。
「光、輝さん……」
信じられない光景に目を疑う。なんで、彼がここに?
状況についていけないでいると、光輝さんは落ちたナイフをすばやく蹴って、男の手の届かない奥の方へすべらせた。
「無事か?」
男への注意は怠らず、光輝さんは私に尋ねてきた。私は何度も首を縦に振り、涙を拭う。そこで自分のすべきことに気づいた。
「け、警察に――」
「もうしてある」
バッグからスマホを取り出そうとすると、光輝さんが即座に告げた。いつの間に?と思うが聞ける雰囲気ではない。
「俺は……俺は、なにもしゃべらない」
光輝さんはそんなに力を入れてなさそうなのに、取り押さえられている男は苦しげにつぶやいた。彼の目的も誰に頼まれたのかもわからない、薄気味悪さだけが残り体が奮えそうになる。
「ああ、君はしゃべる必要はないさ」
しかし光輝さんは平然と言ってのけた。どういう意味なのか。
でも彼は今頃、千恵さんと……。
「未可子!」
名前を呼ばれ目を見開く。男性の注意がそちらに向き、手の力が一瞬緩む。彼のナイフを持つ手の矛先が、私からやって来た相手に変わる。そう認識できた自分に驚く。
時間にして数秒。男性が突き出したナイフをかわし、その手首を掴むや否やナイフが地面に落ちた音が届くのと同時に、低いうめき声をあげて男性が床に伏せた状態になっていた。
「午後六時三十七分。銃刀法違反の現行犯で逮捕する」
凛とした声で、男性の身柄を拘束したのは光輝さんだった。
「光、輝さん……」
信じられない光景に目を疑う。なんで、彼がここに?
状況についていけないでいると、光輝さんは落ちたナイフをすばやく蹴って、男の手の届かない奥の方へすべらせた。
「無事か?」
男への注意は怠らず、光輝さんは私に尋ねてきた。私は何度も首を縦に振り、涙を拭う。そこで自分のすべきことに気づいた。
「け、警察に――」
「もうしてある」
バッグからスマホを取り出そうとすると、光輝さんが即座に告げた。いつの間に?と思うが聞ける雰囲気ではない。
「俺は……俺は、なにもしゃべらない」
光輝さんはそんなに力を入れてなさそうなのに、取り押さえられている男は苦しげにつぶやいた。彼の目的も誰に頼まれたのかもわからない、薄気味悪さだけが残り体が奮えそうになる。
「ああ、君はしゃべる必要はないさ」
しかし光輝さんは平然と言ってのけた。どういう意味なのか。