失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「未可子にはしばらく世話をかけるな」
「いえいえ。頼ってください。そのための妻ですから」
お風呂の準備をしに行こうとして、ふと私は足を止めた。
「どうした?」
背後から光輝さんに不思議そうに声をかけられる。とっさに返事ができず、しばし沈黙が流れ、その代わり心臓の音が大きくなっていく。
おそるおそる私は口を開いた。
「もしも……もしも光輝さんの腕がよくなっても、私、光輝さんのそばにいてもいいですか?」
「なにを言っているんだ?」
怒っているというより、困惑めいた声色なのが伝わってきた。だから彼の本意はまったく読めない。
意を決し私はゆっくり振り向き、光輝さんと目をしっかりと合わせる。
「今回は迷惑をかけましたが、妻として役に立てるようもっとがんばりますから……だから私、ずっと光輝さんの奥さんでいたいんです」
けがを負っている彼に負担をかけるべきではないと思う一方で、あふれ出る本音が止まらない。
『俺ならどうにかできるのに、なにも知らないふりをしたら俺は一生後悔する』
彼の優しさと善意が重なって申し出てもらった結婚。形だけではなく、夫婦として歩み寄りを見せてくれる光輝さんに惹かれていくのが止められなかった。
いつこの関係が終わりを迎えても、彼が別に結婚したい相手ができたと言ってきても、笑顔で受け入れるつもりだった。それがせめてもの恩返しだって、自分に言い聞かせていたのに。
「いえいえ。頼ってください。そのための妻ですから」
お風呂の準備をしに行こうとして、ふと私は足を止めた。
「どうした?」
背後から光輝さんに不思議そうに声をかけられる。とっさに返事ができず、しばし沈黙が流れ、その代わり心臓の音が大きくなっていく。
おそるおそる私は口を開いた。
「もしも……もしも光輝さんの腕がよくなっても、私、光輝さんのそばにいてもいいですか?」
「なにを言っているんだ?」
怒っているというより、困惑めいた声色なのが伝わってきた。だから彼の本意はまったく読めない。
意を決し私はゆっくり振り向き、光輝さんと目をしっかりと合わせる。
「今回は迷惑をかけましたが、妻として役に立てるようもっとがんばりますから……だから私、ずっと光輝さんの奥さんでいたいんです」
けがを負っている彼に負担をかけるべきではないと思う一方で、あふれ出る本音が止まらない。
『俺ならどうにかできるのに、なにも知らないふりをしたら俺は一生後悔する』
彼の優しさと善意が重なって申し出てもらった結婚。形だけではなく、夫婦として歩み寄りを見せてくれる光輝さんに惹かれていくのが止められなかった。
いつこの関係が終わりを迎えても、彼が別に結婚したい相手ができたと言ってきても、笑顔で受け入れるつもりだった。それがせめてもの恩返しだって、自分に言い聞かせていたのに。