失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
 そう簡単にうまくいかず、自分の選択を何度も後悔しそうになった。

 それでも彼にとってなにか響いたものがあるのだとしたら、自ら上の立場にいき、がんばっていた自分を誇りたい。

「正直、ずっと想い続けていたわけでも、純粋な気持ちだけで結婚を申し込んだわけでもない。けれど、今も昔も変わらず未可子は俺にとって特別なんだ。結婚して、未可子がそばにいて、ますますその想いは強くなっている」

 下手にごまかしもせず、取り繕ったりしない。実直な光輝さんの想いに、不安や迷いが溶けていく。

「私も……私もずっと光輝さんが忘れられなかったんです。告白する勇気はなかったけれど、チョコレートに自分の気持ちを込めたのは本当で、だから見透かされて拒否されたんじゃないのかって勝手に結論づけていたんです」

 あの一件のせいもあって、結婚してもなかなか光輝さんを信じられなかった。でも大きな傷になったのは、光輝さんのせいではなく、臆病な私にも原因があった。

「もしも今同じ状況になっても、光輝さんは絶対にそんなことをしない人だって言えます。光輝さんに直接確認もします。光輝さんは信じさせてくれる……私の好きな人ですから」

 微笑んで告げると、不意に唇が重ねられた。

「未可子を愛している」

 応えるように、光輝さんが真剣な表情で告げた。キスした唇が紡ぐ言葉は、ずっと抱えていた怖さを消していき、代わりに彼への想いで満たしていく。
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