失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
 まだ首がすわっていないので頭をしっかり支えるのだが、私が抱っこしているのを見ていたからかとくに緊張する様子もなく、光輝さんは上手に凌空を抱いている。

 先ほどの光輝さんではないが、なんだか彼が赤ちゃんを抱っこしているのを見ると微笑ましく、それと同時にいつかの未来を想像する。

 光輝さんの抱き方が上手だからか安定しているからか、凌空はそのままゆっくりと目を閉じた。可南子を呼びに行き、バトンタッチしてもらう。

 凌空も可南子も疲れるだろうと、私たちは実家を出た。光輝さんの車の助手席に乗り込み、先ほどまで手にあった感触を思い出す。

「赤ちゃん、かわいかったですね」

「そうだな」

 短く同意され、光輝さんを見る。

「光輝さんも子ども欲しいですか?」

「さぁな」

 曖昧な返答は、つまりはどちらでもいいということなのか。おかげで、どんなふうに切り出すべきなのか迷う。

「未可子が俺の隣にいるのが大前提なら、どんな人生でも悪くないと思っている」

 彼が続けた言葉に目を瞠る。言いきってしまう光輝さんについ笑みがこぼれた。

 彼の言う通りだ。あれこれ思い描く未来はどれも不確かではあるけれど、光輝さんが隣にいるのは間違いないし、変わらないと信じている。

 そこにもうひとり加わる予定だと言ったら、光輝さんはどんな反応をするだろう?

 さとい彼は、実は知っていたりして? それとも青天の霹靂のように驚く? 淡々と冷静に受け止めるのかな? その答えはこれからわかる。

「光輝さん、実は――」

 この先も幸せだと確信が持てるのは、あなたがそばにいるからなの。

Fin. 

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
最後まで読んでくださりありがとうございました。
こちらの作品は来月、ベリーズ文庫7月刊の改稿前のものになります。
甘さが足りないのと光輝の気持ちがわかりづらい!(笑)というわけで、書籍版ではふたりの夫婦エピソードや光輝目線の番外編を書き下ろしています。
ラストの事件で彼の想いや裏でなにがあったかなどは、書籍版でお楽しみください。

ハラハラさせることが多かった作品ですが、最後まで未可子と光輝を見守ってくださってありがとうございました。
お付き合いくださり感謝の気持ちでいっぱいです。
今後はファン様限定番外編集で小話をUP予定です。
それでは、どうかまた違う物語でお会いできることを願って!
2025.6.10 黒乃梓
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