恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「どういう、意味ですか?」


「妹が今夜藤宮副社長と今後について話し合うと言っていました。今頃ふたりきりで会っているはずですよ」


眦を下げて話すこの人の本心はわからないが、少しの怖さを感じる。

穏やかな彼の表情とは対照的に、私の心は氷塊を埋め込まれたかのように凍りついていく。

今しがた耳にした内容が何度も脳内で再生される。


「妹は藤宮副社長の渡米中、何度も会っていたそうです。観光や食事をともにしたり仲睦まじく過ごしたと聞いています。あの当時は妹の惚気話にずいぶん付き合わされて大変でした」


そんな話は匡から一度も聞いた覚えはない。


耳にしたばかりの情報に、目の前が真っ白になり、足元に暗く大きな穴が空いたような気がした。


最初から、匡は私との将来を本気で考えていなかった? 


もしや婚約はただの、意味のない口約束?


「私は妹が藤宮副社長と結ばれるのを心から願っています。あなたには私だけを見ていただきたいので」


「え……?」


「先日、私なりにアピールをしたつもりなのですが、あなたからは一向に反応がなく、落ち込んでいたんです。私の気持ちをどうか真剣に考えていただけませんか?」


いきなりの真摯な告白に、理解が追いつかない。

私の心の中は匡だけでいっぱいで、ほかの人が入る余地なんてこれっぽちもない。

そもそも、以前の告白ですら半信半疑だったくらいなのに。
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