恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「それは……」


はっきり断ったし、話す必要がないと考えたからだと誤解されないように、どう伝えればいいのだろう。

絡めた指をほどいた匡は、言いよどむ私の顎を長い指で掬い上げる。

強い視線に射すくめられ、身じろぎすらできない。


「……今日一日、なにをしていた?」


「仕事を、していたけど」


「俺と五十嵐の婚約とかいう記事を、知っていたか?」


問われた内容に、胸がズキリと痛んだ。


「蘭に、聞いた」


「気にならなかった?」


質問の真意がわからず、戸惑う。


「なぜすぐ俺に確認しなかった?」


畳みかけるような強い口調にたじろぐ。


もしかして私があの記事を読んで、動揺せず仕事をしていたって思っている?
 

肝心な事柄はいつも話してくれないのは匡なのに、なんで怒るの?


「眞玖にとって俺の優先順位はどのくらい? 俺が求めるように眞玖は俺を必要としている? ……いつも俺から求めてばかりだ」


強い物言いがどこか自嘲的なものに変わる。

彼がゆっくりと私の顎にかけた指を外す。


「婚約について眞玖は具体的な話をしようとせず、周囲に婚約者だとも伝えない。別の女との婚約話を耳にしても冷静に仕事をこなし、ほかの男に言い寄られても教えない。眞玖の俺への想いはその程度なんだな」


感情を吐き捨てるかのような口ぶりに、心が引き裂かれそうになる。
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