恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
どうしてそんな言い方をするの?


私がどれだけ必死か、知らないの?


「……なんで?」


無理やり絞り出した声は掠れていた。

震える指をギュッと強く握りしめる。


「好きな人に別の婚約者がいたって突然聞いて、動じないと思う? 連絡を取らないって宣言されていた渡米中、ほかの女性と過ごしていたと知ってショックを受けていないって本気で思っているの?」


感情的になってはいけないと、心の中で冷静な自分が一生懸命に引き留める。


「匡が帰国してから、どんな些細な出来事でも知りたくて、いつも私だけを見ていてほしい、少しでも会いたいって毎日願っていた。そもそも私のなにを好きになってくれたのかもわからなくて、ずっと不安だった」


やめなさい、これ以上口にしてはいけない。


頭の中でもうひとりの私が警鐘を鳴らすけれど、一度吐き出した感情の波はおさまらない。

こんな、自分を憐れむような言い方をしたいわけじゃない。

無様な自分をさらしたくない。

わかっているのに、止まらなかった。


「片想いが実って、恋人になれて本当に嬉しかった。でも好きすぎて、失ったらどうしようって怖くなった。匡の本心も、望んでいることもわからない私には、せめて嫌われないように振る舞うしかできなかった」


匡の目が大きく見開かれる。

きっとこんな私に呆れて、うんざりしているに違いない。
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