恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「長谷部は匡のこれまでの女性との付き合いも大体知っているし、様々な噂も耳にしているはずだ」


「そうだろうな」


「匡の噂のひとつに、束縛、独占欲や執着、詮索されるのを嫌うというものがある」


「好意のない相手にはな。そもそも噂されるような恋人がいない」


「そこまで長谷部が知っていたと思うか?」


指摘され、学生時代の眞玖の姿を思い出す。

呆れた、冷ややかな視線を向けられたのは一度や二度ではない。


「知らなかっただろうな」


「だから長谷部は不平不満を一切口にしない。伝えれば別れを告げられると思い込んで、自分を律している。長谷部はずっとひとりで戦っていたんだ」


「まさか……」


「長谷部は人の気持ちに敏感だし、気遣いもうまい。だからこそ匡が求めるものを敏感に察知して、自分が我慢すべきだと当然のように思っている」


ガツンと強い力で頭を殴られたような気がした。

眞玖に俺の気持ちは伝わっていると思っていた。

まさか眞玖が必死に寂しさや不安を押し殺して我慢しているなんて、考えもしなかった。


「ふたりの会話が足りないと長谷部に忠告すれば、匡は多忙だからと遠慮していた。匡が会いに来るのを申し訳ないとまで言っていた」


寂しくさせているのは俺なのだから、会いに行くのは当然で、むしろ会いに来いと文句を言ってもいいぐらいなのに。


それすら躊躇わせるなんて……俺はどれだけの我慢と苦痛を強いていたのか。


眞玖はどれほど辛く、寂しかっただろう。
< 129 / 156 >

この作品をシェア

pagetop