恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「眞玖は仕事がやっと楽しくなってきた時期だっただろう。眞玖の人生を俺のせいで変えるのは忍びない……今さら俺が言えた台詞じゃないが」


「本当に、匡は長谷部限定で思慮深くて優しいな。好きな女をわざわざ置いて渡米するなんて真似、俺にはできない。心配で仕方ない」


肩を竦める宰に、ゆっくり首を横に振る。


「不安と焦りだらけだったよ。どこかの誰かに横から奪われたらってずっと気が気じゃなかった。でもそのときは自分勝手でもなんでも、絶対に取り戻すって決めていた。眞玖は俺の唯一だから」


怖いなと親友は肩を竦める。


「この話を長谷部に伝えたか?」


「カッコつけて自分から連絡を断つ言い方をしたのに、言えるはずがない。渡米中はずっと不安だった、今も独占したくて仕方ない、なんて」


「だからなんでそうなる? 誰に見栄をはるつもりだ? 惚れた時点で匡の負けだ。自分のすべてをさらけ出して相手に想いを伝える以上に大事なものはないだろ。仕事は完璧に配慮できるのになんでわからないんだ」


親友が渋面を浮かべて言い切る。


「匡は長谷部が感情をさらけ出したら嫌いになるのか? みっともないと馬鹿にするのか?」


「まさか。むしろ嬉しくて全力で受けとめる」


「だったら長谷部もそうだと考えないのか?」


諭されて、俺の心の奥にストンとなにかが落ちた。
< 131 / 156 >

この作品をシェア

pagetop