恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
豪華なエントランスを抜け、無人のエレベーターホールまで歩みを進める。

エレベーターに乗り込んだ瞬間、匡が私との距離を一気に詰めた。


「……泣かせて悪かった」


空いている、もう片方の指の腹で私の目尻に優しく触れる。


「きっと眞玖は俺の見ていないところでたくさん泣いたり、ずっと涙を堪えていたんだよな。傷つけて、悲しませて本当に悪かった」


「……私も傷つけたし、お互い様よ。それより……」


思わず目の前の長い指をギュッと両手で握りしめた。


「自分でさよならを言ったのに……匡が離れて行ったらと思うとすごく怖かった。勝手だってわかっているけど、嫌いにならないで」


この恋を、どうしてもあきらめられない。


「……匡が、好きなの」


胸に抱えていた想いを伝える声が震える。

感情が高ぶって視界が滲む。

うつむいて嗚咽混じりに告白する私は、およそ大人の女性とは言い難い。

大好きな人に触れて、堪えきれなくなった感情がどんどん零れ落ちていく。

ポタリとエレベーターの床に丸い染みが落ちた途端、骨ばった指が性急に私の顎を掬い上げた。

ふわりと私の額を彼の髪が掠めて、唇が塞がれた。

唇を離すのが惜しいと言わんばかりに、角度を変えて何度も長いキスが繰り返される。
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