恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「眞玖を守りたかったのが一番だけど、仕事が手につかなくなると思ったから」


「え……?」


「声を聞けば会いたくなるし、顔を見れば触れたくなる。俺は宰ほど忍耐強くない」


彼にしては珍しく口ごもりながら、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。

心なしか耳が赤い気がする。

思いがけない言葉に驚きながらも、真剣に私を想ってくれていた彼の本心に心が温かくなった。

しかも私に男性が寄りつかないよう、峰岡専務に頼んでいた件には驚いた。

すべての事情を知っている峰岡専務に、私へきちんと説明して謝罪するよう先ほど諭されたらしい。


「散々渡米前も帰国後も宰に忠告されていたのに、俺が聞く耳を持たなかったせいで眞玖を傷つけた」


頭を垂れた彼の両頬に、両手で触れる。


「私も怖がらずに匡に気持ちをぶつければよかった。私たちは相手を想っているようでお互いに空回りしてしまっていたのね」


「眞玖に不甲斐ない自分を見せたくなかったんだ」


項垂れる姿は、普段の自信に満ち溢れたものからはほど遠い。

けれどありのままの匡を見ているようで嬉しかった。
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