恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「――長谷部眞玖さん、俺と結婚してください」


呼吸が、止まった気がした。

目の前に見覚えのある指輪を婚約者が掲げている。


今、なんて?


耳に響いた言葉をきちんと理解できない。


「婚約はしたけど、きちんとプロポーズしていなかっただろ。これから先の人生を俺とともに歩んでほしい。もうあの日のように置きざりには絶対にしない」


泣きたいわけではないのに、視界が勝手にどんどん滲んでいく。


「眞玖だけをずっと愛してる」


少し屈んだ彼が、私の耳元で甘く囁く。

堪えきれなくなった涙が頬を伝って流れ落ちる。

返事をしなくては、とわかっているのに喉がカラカラで声が出ない。

胸が幸せで満たされてこみ上げる気持ちを、どう表現したらいいのかわからない。


「泣き虫」


「だって、こんな突然」


「ここでプロポーズしようって決めていたんだ。注文していた婚約指輪が出来上がったと連絡をもらって、さっき取りに行ってきたんだ。なにより大事な用事だろ?」


本当にこの人には敵わない。


どこまで私を驚かせて喜ばせるの?
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