恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
なんでそんな約束を?


真意がわからず目を泳がせる私に焦れたように、彼が問う。


「返事は?」


ほんの少し不貞腐れたような声に、小さく首を縦に振る。


「イイコだな」


まるで小さな子どもを褒めるような口調なのに、とても甘く聞こえるのはなぜだろう。

頬から外した手を緩く私の腰に回し、さらに彼との距離が近づく。

柔らかな弧を描く唇と色香が漂う表情に見惚れる。


「なんで、そんな顔をするの?」


「眞玖がここにいるから」


「酔ってる?」


「さあな」


「もう帰る」


「ハイハイ」


火照った頬を見られたくなくて視線を下げ、腕の中から抜けだそうとした瞬間、ギュッと両腕に力が込められた。

まるで離れるのを拒むかのように、強く抱きしめられる。


「ちょっと、なに……」


「――このまま、連れていければいいのにな」


切なさを帯びた低い声で囁かれ、呼吸が止まった気がした。


「……なんて、な。ほら、帰るぞ」


そう言って腕を緩め、私を解放する。

半歩前を歩く広い背中をじっと見つめながら、自分の気持ちが益々わからなくなった。

ただうるさく暴れる鼓動だけを感じていた。
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