恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「――ねえ眞玖、本当にわからないの?」


「なにが?」


週明けの月曜日、昼食をとるため、近くのカフェに蘭と向かった。

藤宮くんと食事に出掛けた件を話したところ、蘭に真剣な声音で尋ねられた。


この辺りはオフィス街なのでちょうど休憩時間なのだろう。

テーブル席が五つある店内は現在満席だ。

通りに面したテーブル席に、待たずに座れた私たちは運が良かった。

周囲のビルから大勢の人が出入りしている様子をガラス越しに見つめる。

ちなみに以前藤宮くんが来社した折に蘭を紹介しているので、ふたりは顔見知りだ。


「金曜日の藤宮さんの態度、普段と違っていたんでしょ?」


「うん、やっぱり海外に行くから緊張しているのかと思ってたんだけど……」


金曜日の夜は彼との会話、仕草を何度も反芻してなかなか眠りにつけなかった。

今でもふとした瞬間に彼の温もりを思い出しては体温が上がってしまう。


「あのね、私が聞いてるのは眞玖の気持ちよ」


「え?」


「藤宮さんの長期海外赴任を知ってどう思った?」


“長期海外赴任”という単語に、心が鉛を埋め込まれたかのように重くなる。


「ショックだったんでしょ?」


「……突然だったから驚いただけ。しかも来週出発だって言われて」


躊躇いがちに、小声で返答する。


「じゃあ我が社の御曹司が再び長期海外赴任するって聞いたらどう思う?」


「頑張ってきてくださいって全力で送り出す」


「即答ね」


「当たり前でしょ」


質問の主旨がわからず困惑しつつも、端的に答える。
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