恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
お祝い会の服装に頭を悩ませているうちに、約束の金曜日になった。

考え抜いた結果、ベージュのスーツと襟元に華やかなフリルがあしらわれたカットソーに決めた。

派手過ぎす、地味過ぎず、と服を選びながら呪文のように何度言い聞かせただろう。

専務室に出入りする様子はおのずとほかの社員の目につく。

専務と恋仲だという見当違いの噂は今も時折耳に入ってくるため、専務へのアピールだと誤解されるような装いは避けたい。

意外に腹黒いこの友人に恋心を抱いたことは一度もない。

なので、これ幸いと噂を縁談除けに使うのをいい加減にやめてもらいたい。


午後一時前、直属の上司と周囲に離席を伝えフロアを出た。

今日は午後一時から専務室でミーティングという名目になっている。

ちなみに蘭は今日、終日外出だ。

ミーティングというには不純な気がして、少し後ろめたさを感じる。

時間にまだ余裕があるので、明日来訪予定のお客様について受付に伝えるため、階下に向かった。

受付の方々は社内の色々な噂に精通していて、親友でさえ舌を巻く情報網を持っている。
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