私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「どう言うつもりだ」
実家でタンスの肥やしになっていたラベンダー色のドレスを身に纏い、皇太子のエスコートを受けて華々しい社交界デビューを迎えた妹の姿をぼんやりと見つめ――。
どれくらいの時間が経過しただろうか。
「なぜ俺に、声をかけなかった」
会場で婚約者のいないご令嬢達に紛れて壁の花になっていたら、明らかに不機嫌ですと言わんばかりの表情をしたレオドールに、声をかけられた。
彼は夜会に騎士団長としてではなく第二王子として出席しているようで、見慣れた軍服ではなく正装を身に纏っていた。
――珍しいな……。
皇太子と比べられたくないからか。
こいつはいつも、こうした集まりには頑なに騎士団長の肩書を引っ提げて顔を出していたのに……。
やっぱり、あれか。
第二王子としてようやく私を手に入れたと、貴族達にアピールしたかった感じ?
「主役よりも目立ったら、まずいでしょ」
「……ふん。あのような紛い物など……。エルネットが着飾れば、吹き飛ぶだろうに……」
私の予想は、どうやら当たっていたようだ。
彼は会場の中央で笑顔を浮かべるアルベールとマリンヌの姿を忌々しそうに睨みつけると、こちらに手を差し出した。