私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 今すぐアルベール様に相応しいのはわたしだと、声を張り上げたいのに……! 
 魔力の才能が未覚醒な状態では、どうしようもできなくて……。
 イベントをお姉さまに奪われてしまった以上、無力なか弱き少女でしかなかった。

 アルベール様に拘らなくてもいいじゃない。
 攻略対象は、あと四人もいる。

 そう何度も自分に言い聞かせて諦めようとしたけれど――駄目だった。

 ゲームは何度もやり直せるが、わたしの人生は一度きりしかないとわかっていたからだ。

 ――どうしよう。

 わたしはまた、誰にも愛されずに命を落とすの?

 ――そんなの嫌だ。

 考えなきゃ。
 ここから逆転勝利を掴み取る、シナリオを。

 考えて、考えろ。
 二度と不相応にもアルベール様へ手を伸ばさぬように。
 お姉さまを完膚なきまでに叩きのめす方法を――。

「そうだ……」

 ――悪役令嬢は、病弱だった。

 産まれ持った魔力の才能こそ素晴らしいものだったが、それを自由自在に扱えなければ意味がない。
 両親から愛を受けずに育った彼女は人生に絶望し、黒魔術に酔狂していく。
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