私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 どうして、どうして、どうして。どうして!

 わたしはずっと、この時を待っていた。
 乙女ゲームの原作が始まるのは、お姉さまが1お姉さまの時。
 そしてわたしが、15歳の誕生日を迎えた年だ。

 ――学校には当然、入学できなかった。
 思った以上に黒魔術の副作用が大きく、身体が言うことを効かないのだ。

 学園生活などできるわけもなく、わたしはトヨシーハ公爵家のベッドでほとんどの時間を過ごす。

 嫌だ。嫌だ、嫌だ。嫌だ。
 このまま愛する人と言葉を交わす機会もなく、命を終えるなんて。
 わたしは死にたくない。
 生き続けたい。

 この世界でアルベール様から溺愛されることこそが、わたしの使命なのに……!

 どうして思い通りに、いかないの?

 わたしからヒロインの座を奪ったお姉さまは魔法学園の入学を免除されて。
 今は魔法ラボで働いているらしい。

 そんな話、わたしの知っている乙女ゲームのシナリオには存在しなかった!

 ――お姉さまは予定調和をめちゃくちゃにする、天才だ。

 早く始末しなきゃ。早く、早く、早く、早く……。
 そうしなければ、わたしがいつまで経っても幸せになれない。
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