私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 正統派王子様との純愛と、ツンデレとヤンデレが融合したニッチな第二王子の狂愛――。

 後者にはあまり、興味は抱けないけれど……。
 お姉さまが亡くなったあと、初めて顔を合わせるよりも。
 今のうちに心を通わせておいたほうが、いいと思ったのだ。

 お姉さまだって、彼から狂愛を注ぎ込まれることに、まんざらでもない様子だし……。

 ――アルベール様を奪おうとした罰は、きっちりと受けてもらわなくちゃ……。

 そのためには、わたしと同じ痛みを味わうのが一番だよね……?
 そんなわたしの思惑を知りもしないアルベール様は、願いを叶えてくださった。

 よかった。大好きな人の前で、どうでもいい人間に言い寄るなんて。
 あまり褒められたことではないけれど……。
 アルベール様が世界で一番大好きだって。わたしは何度も伝えているもの。
 きっと、勘違いなんかせず……。
 優しく見守ってくださるわよね……?

「失せろ。俺は貴様と、交流を深める気はない」

 ――そう、思っていたのに。
 現実は小説よりも奇なりと、よく言ったものだ。
 アルベール様のエスコートを受けて王城に向かったわたしが、第二王子と顔を合わせた瞬間――彼はわたしを拒絶すると、去って行ってしまった。
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