私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 黒魔術など蔓延させなくとも、よかったんだ。
 わたしの婚約者になったアルベール様は、定期的に会いに来てくださった。
 それがどれほど嬉しかったことか! 大好きで、大切な、わたしだけの皇太子。

 前世では、画面越しでしか会えなかった。
 一方的にしか言葉をぶつけられなかったのに……。
 こうして直接触れ合って、目と目を見つめて話せるなんて、夢のようで――。

 浮かれていたわたしは、欲張ってしまった。

「アルベール様……。もし、よろしければ、なのですが……」
「どうしたの?」
「第二王子にも、ご挨拶が、したいのです……。お姉さまも、わたしなら……。仲良くなれるのではないかと、仰ってくださって……」

 レオドール・リスティムルクがお姉さまを愛しているのは、有名な話だ。
 乙女ゲーム本編でも、そうだった。
 彼は黒魔術に秀でた女性へ、惹かれる傾向がある。

 彼の魔力属性は、闇だから。

 第二王子は悪役令嬢が処刑されたあと、深い悲しみに包まれて黒魔術の才能に目覚めるのだ。
 ヒロインは彼の黒魔術を浄化し、心の隙間に入り込む。
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