私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「ど、して……?」

 その時の絶望たるや。
 想像など、したくもないけど……。
 理由を聞かれたなら、答えてあげないとかわいそうだよね。
 僕は笑顔を貼りつけたまま、明るい声で告げる。

「ごめんね。全部、嘘だったんだ」
「な、何を……」
「君が純粋な子で、助かったよ。黒魔術の代償によって身体が動けないのも、僕にとっては都合がよかった」

 この子が僕の周りをウロチョロとされると、エルネットの勘違いが加速してしまう。
 彼女の自室へ会いにさえいかなければ、顔を合わせずに済むのはーー都合のいい道具として、利用価値があったんだけどね……。

「誰でもよかったんだよ。エルネットとの婚約破棄は、一時的なもの。僕とあの子が相思相愛になるための、試練なんだ!」

 マリンヌは僕が思っていた以上に、エルネットに対して恨みを募らせていた。
 愛する人を傷つける敵と手を取り合い続けるなんて。
 そんなこと、できるわけがないだろう?
< 201 / 241 >

この作品をシェア

pagetop