私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「僕と婚約者になったあと。態度を改めれば、君を好きになる未来もあったかもしれないけど……」
「わ、わたしの、せい……なのですか……?」
「そうだよ? 今さら気づいたのかい?」
「嘘……」
「エルネットに対する攻撃の手を緩めるどころか、過激さを増すばかり。こんな状態じゃ、新しい恋なんてできるわけがない」

 マリンヌは僕の言葉を、よく理解できていないみたいだ。
 何度も首を振って嫌だと泣き叫ぶが、どれほど拒絶されても彼女と関係を続けるつもりはなかった。

「わたしのほうが……お姉さまよりも、かわいくて……魔術の才能があって……。アルベール様を、愛しているのに……」
「それはどうかな」
「ひ、酷い……! どうして、信じてくれないのですか……!?」
「君だって。僕じゃなくても、よかったんだろう?」

 彼女は涙を引っ込めると、驚愕で目を見開く。
 まさか言い当てられるなど思いもしなかった。
 そんな表情だ。

 ーー僕も、舐められたものだね。

 普段は苛立ちをぐっと堪えて、表には出さないけど……。
 もうすぐ縁の切れる相手に、気を使う必要はないだろう。
< 202 / 241 >

この作品をシェア

pagetop