私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 ーーそんなの、絶対に嫌だ!

 私は話の通じない男をどうにか自分のペースに引き込むべく、言葉を重ねた。

「私の話、ちゃんと聞いてた?」
「俺の肩書が、第二王子だからか」
「あんたが平民でも、結婚なんて考えられないけど」
「皇太子なら、いいんだな」
「はぁ? あんたがレオドール・リスティムルクである限り、結婚なんて絶対無理」

 アルベールが許嫁になったと紹介されて、それを受け入れたのは……皇太子だからじゃない。
 彼が温厚な性格だったからだ。

 ーー彼なら私を、大切にしてくれると思った。

 結局、互いに恋愛感情は芽生えなかったけど。
 いい友人として、つかず離れずの関係を保てていたのだ。
 彼が妹と恋仲になっていなければ、今頃私達は許嫁として、並んで歩いていたはずだった。

「肩書きなんて、どうでもいいよ」

 ーー好きだったわけでもないのに。

 未練たらしく何度もアルベールの姿を思い浮かべてしまうあたり――なんだかんだ言っても彼に入れ込んでいたのかもしれないなぁと、失って初めて気づいた不思議な感情にモヤモヤとしていれば。
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