私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「大嫌いって、言われちゃった」

 マリンヌも、酷いよね。
 自分が転生者だって知っていたなら、私に教えてくれたらよかったのに。
 ほら。数は少ないけどさ? 悪役令嬢とヒロインが手を取り合う話も、存在するし……。

 ーー私がもっと早くに、前世の記憶を覚えているって打ち明けたら。
 妹が黒魔術に手を染めることは、なかったのかな? 

 そんな後悔に苛まれた私が、彼の隣にすとんと腰を下ろせば。

「気にするな」
「いや。でもさぁ。私がいなかったら……」
「冗談でも、二度と口にするな。不愉快だ」

 レオドールは私の腰元に腕を回すと、そう吐き捨てながら抱き寄せた。
 彼の逞しく筋肉質な身体に包まれた私は、憎まれ口を叩く。

「ほんと、短気……」
「これから忙しくなるぞ。覚悟しろ」

 素直にならない私の気を、どうにかして引きたかったのだろう。
 彼は指先を絡めると、離れないように握りしめる。
 それに驚いた私がぱっと瞳を見開いてレオドールを見上げれば。
 紫色の瞳が、こちらを見下しているのに気づいてーー。
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