私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「貴様は一体、な、なんなんだ……」
「初めまして! 私はエルネット・ヨトシーハ! 公爵家の娘だよ」
「違う! 名前など、聞いていない!」
「そう? いつまで経ってもアルベールの偽物なんて、不名誉な呼び方をするわけにはいかないし……」
「ぐ……っ」

 彼も私の指摘を受けて、ようやく本名を名乗っていないと気づいたのだろう。
 言葉を詰まらせた少年は、先程まで怒り狂っていたのが嘘のように狼狽え始めた。

「教えてよ。なんて名前なの?」
「お、俺は……」

 無邪気に問いかければ、彼の表情が曇る。
 そんなに言いたくないのかな? 目を白黒させて、青くなったり赤くなったり。
 忙しそうに表情を変化させる少年はーー年相応のかわいらしさがある。
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