私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「それに……。エルネットの体温は、暖かな湯のように、ぬくいからな。思いきり、堪能させてもらおう」
「はぁ!?」

 そんなの満喫しなくたっていいから! 発言が寒すぎて、背筋がゾワゾワしてきたんだけど! 
 どう責任、取ってくれるわけ!? 

「エルネット」
「な、何……」
「ありがとう」

 名前を呼ばれて身構えれば。
 あいつは満面の笑みを浮かべてお礼を告げた。

 ――レオドールの笑顔って、アルベールによく似てる……。

 やっぱり双子なんだなぁと感慨深い想いを抱いたのは、一瞬だった。
 そのあとに頬へ口づけられたせいで、そんな感動すらも吹き飛んでしまう。

 ――やっぱり、レオドールなんて嫌いだ……。

 彼の唇が触れた場所が、じんじんと熱を持って疼くのは気の所為に決まっている。
 そう結論づけた私は、最悪の気分で目を閉じた。
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