あざと泣き虫令嬢はサイコーな黒王子に歪んだ溺愛をされる

黒王子は観察する

リゼルアが三人の女子によって、壁際に追い詰められ絡まれている。
それを遠目に見つけ、ウィリーがルナアークに伝える。

「おっ? あれ殿下の婚約者では?」
「隠れるぞ」

物陰からルナアークとウィリーはリゼルア達を観察する。

「何で隠れるの? 止めてあげなよ……」

リゼルアは震えながら目に涙を溜めている。

「涙を堪える顔も可愛いな」
「え?」

ルナアークは興奮しているようだった。表情筋は働いていないが、頬を赤らめている。

「結局、顔か」

ルナアークの言動に呆れるウィリー。
気がつけばルナアークがウィリーの隣から忽然と消える。

そろそろリゼルアいびりは最高潮を迎えたようで、一人の女子が右手を振り上げた。

その手を掴むルナアーク。

「殿下ぁ……」
「私の婚約者に何かご不満が?」
「いえ、も、申し訳ございません」

ルナアークに見つかって怯える女子達。

「私の婚約者への攻撃は、私を攻撃するのと同じこと、不敬罪に問われるかもしれませんね」

掴んだ手をギリギリと握るルナアーク。手を掴まれた令嬢は痛さで顔を歪める。パッと手を放すと、青ざめた表情で、三人の令嬢は逃げて行った。

リゼルアは震えながら、うるうるとしてルナアークを見つめた。
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