I LOVE YOU~世界中であなたが一番大好きです~
第三話 彼の意外な一面と心境の変化
さやかは誰も居ない空き教室で、渡された台本の表紙とにらめっこしていた。
ページを開く気になれないのは、あまり気乗りをしていないから。
そのせいか文字も頭に入って来ない上に、これからのプレッシャーで押し潰されそうになっていた。
「……はぁ」
その時だった。
普段誰も来ないはずの空き教室の扉が開き、ビックリした顔の響也が姿を現した。
響也はこれから職員室に帰ろうとしていたところだったが、通りすがりに空き教室から声がしたために開けてみたのだった。
そこにはまさかの自分の持ち生徒が居たものだから、吃驚して少し声を出してしまった事を、さやかには聞こえていなかったとも知らずに恥じた。
「……どうしたんですか、こんなところで」
「い、いえ、ちょっと」
なんと言ったらいいのか分からず、さやかはまごまごとした口ぶりで誤魔化そうとした。
しかし、その手に台本が握られていることに気づいた響也は、彼女がここにいる理由に思い至ることがあった。
「無理はしなくていいんですよ」
響也の言葉は唐突で主語が無い物だったが、彼が何を指しているのかさやかはすぐに分かった。
「無理だなんてそんな……!」
「文化祭は生徒が主体の場なので、あまり教師が手を出すものではないと思っていたので、あの時は止めませんでした」
「……」
「しかし、こんなところで思い悩んだ顔をさせるようであれば、ここは僕が介入するべきだと思います」
冷ややかで仕事に関しては特に淡々とした印象を強く受ける響也から、こんな風に思いやりを感じられることがさやかは信じられなかった。
別の意味で押し黙ってしまった彼女を見て、立ち上がった響也は対策法を考えるように唸る。
「……やります」
ポツリと囁かれたさやかの言葉に目を丸くした響也は、再びしゃがみこんで目線を合わせる。
「だから無理は——」
「無理なんかじゃありません」
「そう、ですか」
さやかとて、何故響也に声をかけられたぐらいでやる気になったのかは分かっていない。
響也の意外な一面を見たことが、さやかの心境に影響を与えたことだけは確かだった。
ページを開く気になれないのは、あまり気乗りをしていないから。
そのせいか文字も頭に入って来ない上に、これからのプレッシャーで押し潰されそうになっていた。
「……はぁ」
その時だった。
普段誰も来ないはずの空き教室の扉が開き、ビックリした顔の響也が姿を現した。
響也はこれから職員室に帰ろうとしていたところだったが、通りすがりに空き教室から声がしたために開けてみたのだった。
そこにはまさかの自分の持ち生徒が居たものだから、吃驚して少し声を出してしまった事を、さやかには聞こえていなかったとも知らずに恥じた。
「……どうしたんですか、こんなところで」
「い、いえ、ちょっと」
なんと言ったらいいのか分からず、さやかはまごまごとした口ぶりで誤魔化そうとした。
しかし、その手に台本が握られていることに気づいた響也は、彼女がここにいる理由に思い至ることがあった。
「無理はしなくていいんですよ」
響也の言葉は唐突で主語が無い物だったが、彼が何を指しているのかさやかはすぐに分かった。
「無理だなんてそんな……!」
「文化祭は生徒が主体の場なので、あまり教師が手を出すものではないと思っていたので、あの時は止めませんでした」
「……」
「しかし、こんなところで思い悩んだ顔をさせるようであれば、ここは僕が介入するべきだと思います」
冷ややかで仕事に関しては特に淡々とした印象を強く受ける響也から、こんな風に思いやりを感じられることがさやかは信じられなかった。
別の意味で押し黙ってしまった彼女を見て、立ち上がった響也は対策法を考えるように唸る。
「……やります」
ポツリと囁かれたさやかの言葉に目を丸くした響也は、再びしゃがみこんで目線を合わせる。
「だから無理は——」
「無理なんかじゃありません」
「そう、ですか」
さやかとて、何故響也に声をかけられたぐらいでやる気になったのかは分かっていない。
響也の意外な一面を見たことが、さやかの心境に影響を与えたことだけは確かだった。