孤高の弁護士は、無垢な彼女を手放さない
観覧車を降りたあと、紬はそっと隼人の腕に身を預けるように寄り添った。
ぴたりとくっついたまま、二人は静かに歩き出す。
言葉はなかった。
ただ、腕が触れるその一点だけが熱を帯びて、そこから確かに想いが伝わっていく。
隼人の心は、まだ少し波打っていた。
観覧車の中、潤んだ瞳で見上げてきた紬の顔が、何度も脳裏に浮かぶ。
求めるような目で、でもどこか戸惑いも滲ませながら、自分を信じてくれた彼女。
あのキスは…本当に、よかったのだろうか。
彼女は「怖くない」と言った。
でも――それは、気を遣わせた言葉じゃなかったか。
ランチのとき、あんなふうに真剣に自分を信じると言ってくれた。
それでも、未だに自分自身を疑ってしまう癖が抜けない。
こんな自分に、彼女を預けてしまって、本当にいいのか。
そんな思考を断ち切るように、
紬がふいに立ち止まった。
驚いて隼人も足を止め、彼女の顔を見下ろす。
見上げた紬の瞳は、どこまでも澄んでいた。
穏やかで、あたたかくて、でもその奥にはまっすぐな意志がある。
その瞳が、隼人の心の最奥を射抜いた。
「私は大丈夫だよ、隼人くん。」
少し息を吸ってから、紬は続ける。
「隼人くんなら、どんなことでも大丈夫。怖くないし、一緒にいたいって、心から思ってる。その気持ちに、嘘なんてひとつもないよ。」
その言葉に、何かが決壊したように、隼人の胸がふっと緩んだ。
こんなふうに、まっすぐに自分を見てくれる人がいる。
どんな過去も、痛みも、ぜんぶを受け止めようとしてくれる人が。
隼人は無言のまま、紬をそっと抱き寄せた。
ぎゅっとではなく、やわらかく、でも確かに。
胸元にすっぽりと収まる彼女の体温が、冷え切っていた心にじんわりとしみ込んでいく。
髪からふわりとした香りが鼻をくすぐった。
それは、懐かしさと安心を含んだような、特別な香りだった。
隼人は、今度こそ信じたいと思った。
彼女の言葉を。彼女の気持ちを。
そして何より、自分自身を。
もう一度、彼女の名を呼びたくなる。
確かめるように。
でも、それはこの先、静かな夜が続いていく中で――少しずつ、交わしていけばいいと思えた。
ぴたりとくっついたまま、二人は静かに歩き出す。
言葉はなかった。
ただ、腕が触れるその一点だけが熱を帯びて、そこから確かに想いが伝わっていく。
隼人の心は、まだ少し波打っていた。
観覧車の中、潤んだ瞳で見上げてきた紬の顔が、何度も脳裏に浮かぶ。
求めるような目で、でもどこか戸惑いも滲ませながら、自分を信じてくれた彼女。
あのキスは…本当に、よかったのだろうか。
彼女は「怖くない」と言った。
でも――それは、気を遣わせた言葉じゃなかったか。
ランチのとき、あんなふうに真剣に自分を信じると言ってくれた。
それでも、未だに自分自身を疑ってしまう癖が抜けない。
こんな自分に、彼女を預けてしまって、本当にいいのか。
そんな思考を断ち切るように、
紬がふいに立ち止まった。
驚いて隼人も足を止め、彼女の顔を見下ろす。
見上げた紬の瞳は、どこまでも澄んでいた。
穏やかで、あたたかくて、でもその奥にはまっすぐな意志がある。
その瞳が、隼人の心の最奥を射抜いた。
「私は大丈夫だよ、隼人くん。」
少し息を吸ってから、紬は続ける。
「隼人くんなら、どんなことでも大丈夫。怖くないし、一緒にいたいって、心から思ってる。その気持ちに、嘘なんてひとつもないよ。」
その言葉に、何かが決壊したように、隼人の胸がふっと緩んだ。
こんなふうに、まっすぐに自分を見てくれる人がいる。
どんな過去も、痛みも、ぜんぶを受け止めようとしてくれる人が。
隼人は無言のまま、紬をそっと抱き寄せた。
ぎゅっとではなく、やわらかく、でも確かに。
胸元にすっぽりと収まる彼女の体温が、冷え切っていた心にじんわりとしみ込んでいく。
髪からふわりとした香りが鼻をくすぐった。
それは、懐かしさと安心を含んだような、特別な香りだった。
隼人は、今度こそ信じたいと思った。
彼女の言葉を。彼女の気持ちを。
そして何より、自分自身を。
もう一度、彼女の名を呼びたくなる。
確かめるように。
でも、それはこの先、静かな夜が続いていく中で――少しずつ、交わしていけばいいと思えた。