孤高の弁護士は、無垢な彼女を手放さない
一条が部屋に入ると、紬はすぐに立ち上がり、軽く一礼した。
「失礼いたします。」
声を震わせないように必死に心を落ち着けながら、礼儀正しく頭を下げた。
一条は無言で、ゆっくりと大橋の正面に座る。
大橋は足を大きく組み、椅子に深く座り込むようにして、上から下まで一条をじろりと見下ろした。
その視線に含まれる軽蔑や挑戦的な空気を、紬は冷や汗をかきながら感じ取る。
一条は大橋を全く意に介さず、淡々とした口調で言った。
「それでは、今回の案件についてですが、まず示談交渉の進捗状況を確認させていただきます。」
冷徹で感情を一切交えない言葉の選び方が、大橋の挑発的な態度にも関わらず、圧倒的な安定感を持って響いた。
紬はその隣に座り、必死に背中をまっすぐに保ちながら、大橋と一条のやりとりを見守っていた。
その瞬間、急に胸が激しく鼓動し始め、身体がこわばっていくのが自分でもわかる。
(冷静になれ、冷静に、これは仕事だ……)
そう心の中で自分を叱咤しながら、紬は無理に肩の力を抜こうとした。
一条は、冷静な口調で案件の進行状況を説明し続けた。
「まず、この部分の書類に関しては、記入ミスがいくつかあります。それが原因で、手続きが遅れています。」
大橋は苛立ったように口を開いた。
「だからなんだよ! 俺は待たされてるんだ。もっと早くやれって言ってんだろ!」
しかし、一条はその声に一切動じることなく、むしろ一段と落ち着いた声で返した。
「大橋さん、今回の示談手続きは慎重を期して進めています。
急いだ結果、不利な条件を飲まされることを避けるために時間を要しています。
今後、問題のある部分に関しては適切に修正し、できるだけ速やかに対応いたしますが、その点をご理解いただけると助かります。」
その言葉には、どこか余裕を感じさせる冷静さがあった。
大橋はその一言で押し黙り、再び机を叩くことはなかった。
その後、一条はさらに淡々と案件の詳細を説明していった。
紬はその隣で、ただその流れに従うしかなかった。
心の中では大橋の目線がずっと気になり、冷や汗が額を伝うのを感じていた。
大橋が、再び口を開こうとするが、今回は一条の一言でさらに言葉を飲み込んだ。
「大橋さん、感情的になるのは理解できますが、問題を解決するためには冷静な対応が必要です。
私はあなたの側に立っているつもりですので、感情的な反応を控えていただき、話を進めていただければと思います。」
その一言で、大橋はもう何も言わなくなった。
紬はその様子を目の当たりにし、思わず息を呑んだ。
(こんな風に、冷静に対応できるんだ……)
一条の余裕のある態度に、少し驚きとともに尊敬の念を抱いた。
しかし、その気持ちとは裏腹に、隣で彼の存在を感じるたびに、胸の中で不安がぐるぐると回り続けていた。
「失礼いたします。」
声を震わせないように必死に心を落ち着けながら、礼儀正しく頭を下げた。
一条は無言で、ゆっくりと大橋の正面に座る。
大橋は足を大きく組み、椅子に深く座り込むようにして、上から下まで一条をじろりと見下ろした。
その視線に含まれる軽蔑や挑戦的な空気を、紬は冷や汗をかきながら感じ取る。
一条は大橋を全く意に介さず、淡々とした口調で言った。
「それでは、今回の案件についてですが、まず示談交渉の進捗状況を確認させていただきます。」
冷徹で感情を一切交えない言葉の選び方が、大橋の挑発的な態度にも関わらず、圧倒的な安定感を持って響いた。
紬はその隣に座り、必死に背中をまっすぐに保ちながら、大橋と一条のやりとりを見守っていた。
その瞬間、急に胸が激しく鼓動し始め、身体がこわばっていくのが自分でもわかる。
(冷静になれ、冷静に、これは仕事だ……)
そう心の中で自分を叱咤しながら、紬は無理に肩の力を抜こうとした。
一条は、冷静な口調で案件の進行状況を説明し続けた。
「まず、この部分の書類に関しては、記入ミスがいくつかあります。それが原因で、手続きが遅れています。」
大橋は苛立ったように口を開いた。
「だからなんだよ! 俺は待たされてるんだ。もっと早くやれって言ってんだろ!」
しかし、一条はその声に一切動じることなく、むしろ一段と落ち着いた声で返した。
「大橋さん、今回の示談手続きは慎重を期して進めています。
急いだ結果、不利な条件を飲まされることを避けるために時間を要しています。
今後、問題のある部分に関しては適切に修正し、できるだけ速やかに対応いたしますが、その点をご理解いただけると助かります。」
その言葉には、どこか余裕を感じさせる冷静さがあった。
大橋はその一言で押し黙り、再び机を叩くことはなかった。
その後、一条はさらに淡々と案件の詳細を説明していった。
紬はその隣で、ただその流れに従うしかなかった。
心の中では大橋の目線がずっと気になり、冷や汗が額を伝うのを感じていた。
大橋が、再び口を開こうとするが、今回は一条の一言でさらに言葉を飲み込んだ。
「大橋さん、感情的になるのは理解できますが、問題を解決するためには冷静な対応が必要です。
私はあなたの側に立っているつもりですので、感情的な反応を控えていただき、話を進めていただければと思います。」
その一言で、大橋はもう何も言わなくなった。
紬はその様子を目の当たりにし、思わず息を呑んだ。
(こんな風に、冷静に対応できるんだ……)
一条の余裕のある態度に、少し驚きとともに尊敬の念を抱いた。
しかし、その気持ちとは裏腹に、隣で彼の存在を感じるたびに、胸の中で不安がぐるぐると回り続けていた。