孤高の弁護士は、無垢な彼女を手放さない
紬は、A4書類をクリアファイルに挟み、丁寧にバッグへ収めると、小さく息を吐いた。
「……行ってきます」
社内の同僚に軽く会釈をして、ビルを出る。
向かう先は「月島総合法律事務所」――
東京・月島のビジネス街に構える、損保案件に強いと評判の弁護士事務所だ。
そこに在籍するのが、一条隼人。
メールのやり取りしかしたことがないが、その文章から受ける印象は、冷静で感情の温度がほとんど感じられない“機械のような人”。
「多分、淡々と業務を進めるタイプの人なんだろうな……」
自分に言い聞かせるように、紬は歩を進めた。
「……行ってきます」
社内の同僚に軽く会釈をして、ビルを出る。
向かう先は「月島総合法律事務所」――
東京・月島のビジネス街に構える、損保案件に強いと評判の弁護士事務所だ。
そこに在籍するのが、一条隼人。
メールのやり取りしかしたことがないが、その文章から受ける印象は、冷静で感情の温度がほとんど感じられない“機械のような人”。
「多分、淡々と業務を進めるタイプの人なんだろうな……」
自分に言い聞かせるように、紬は歩を進めた。