孤高の弁護士は、無垢な彼女を手放さない
デザートのチーズケーキが運ばれてきたタイミングで、一条がナプキンを膝に整え、少し背筋を伸ばした。
グラスの水に軽く口をつけると、まっすぐに紬を見つめる。
「紬さん」
その声に、紬は手を止めて顔を上げた。
「紬さんには、遠回しに言っても困らせるだけだと思うので、はっきり言います」
その場に、一瞬だけ柔らかい緊張が走った。
だが──普通なら、ここで多くの女性は、これからの展開に気づくものなのだろう。
けれど、紬は違った。
「はい、なんでしょう?」
小さな声でそう言いながら、ぱくっとチーズケーキを頬張り、目をぱちくりさせる。
無防備な瞳に、一条は思わず小さく息を吐いた。
「……本当に、そこが紬さんらしいですね」
一条は、少し呆れたような、でも明らかに愛おしさをにじませた眼差しで微笑んだ。
そして、穏やかながらも凛とした声で告げた。
「紬さん。僕と──お付き合いしてください」
その瞬間、空気が変わった。
レストランの中の音が、遠くの世界のように感じられた。
ナイフとフォークの音、グラスのぶつかる音、人の笑い声。
すべてが遠ざかり、ただ一条の言葉だけが、時を止めたように、紬の胸の中に響いた。
口の中の甘さが、味じゃなくて、感情で広がっていく。
心臓が、静かに、けれど確かに高鳴る。
一条のまなざしは、逃げ場を与えず、けれど優しかった。
紬は──答えを出さなきゃ、と思うのに、声が出せなかった。
だって、あまりに突然で、夢みたいで、現実だと信じきれていなかったから。
グラスの水に軽く口をつけると、まっすぐに紬を見つめる。
「紬さん」
その声に、紬は手を止めて顔を上げた。
「紬さんには、遠回しに言っても困らせるだけだと思うので、はっきり言います」
その場に、一瞬だけ柔らかい緊張が走った。
だが──普通なら、ここで多くの女性は、これからの展開に気づくものなのだろう。
けれど、紬は違った。
「はい、なんでしょう?」
小さな声でそう言いながら、ぱくっとチーズケーキを頬張り、目をぱちくりさせる。
無防備な瞳に、一条は思わず小さく息を吐いた。
「……本当に、そこが紬さんらしいですね」
一条は、少し呆れたような、でも明らかに愛おしさをにじませた眼差しで微笑んだ。
そして、穏やかながらも凛とした声で告げた。
「紬さん。僕と──お付き合いしてください」
その瞬間、空気が変わった。
レストランの中の音が、遠くの世界のように感じられた。
ナイフとフォークの音、グラスのぶつかる音、人の笑い声。
すべてが遠ざかり、ただ一条の言葉だけが、時を止めたように、紬の胸の中に響いた。
口の中の甘さが、味じゃなくて、感情で広がっていく。
心臓が、静かに、けれど確かに高鳴る。
一条のまなざしは、逃げ場を与えず、けれど優しかった。
紬は──答えを出さなきゃ、と思うのに、声が出せなかった。
だって、あまりに突然で、夢みたいで、現実だと信じきれていなかったから。