旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
あの日和永さんにもらった薔薇の花束は、少しずつ色が褪せてきた。今朝には花びらを数枚散らしていて、そのさまを思い出して息が詰まる。
あの花束が弱っていくのを見ていたくない。離婚の意思を知らせる前に彼が用意してくれたあの花束だけが、今の私の拠りどころなのに。
あなたの本心がなにひとつ分からないまま、私は、一体どこに向かおうとしているんだろう。
苦い気分を振り切り、早くバス停に向かおうと一層歩幅を広げたそのとき、バッグの中のスマホがぶるぶると震え出した。
つい眉が寄ってしまう。メッセージの通知を知らせる場合とは違い、明らかに震え続けている。つまり電話がかかってきている。
また非通知の着信かな、とつい身構えてしまう。
破談になって以降はことさら、非通知の着信には応じないようにしているし、知らない番号からかかってきたときも調べてから応じている。ただ、数ヶ月ほど前から――特にここ一週間ほど、非通知からの着信が異様に増えていた。出なければそれまでだからこそ正体が分からなくて、なんだか薄気味悪い。
バイブ音はなかなか途絶えない。お母さんだったらいいな、と緊張を覚えつつ、私はそっとスマホを取り出す。
けれど画面を確認するや否や、素っ頓狂な声が勝手に喉を滑った。
あの花束が弱っていくのを見ていたくない。離婚の意思を知らせる前に彼が用意してくれたあの花束だけが、今の私の拠りどころなのに。
あなたの本心がなにひとつ分からないまま、私は、一体どこに向かおうとしているんだろう。
苦い気分を振り切り、早くバス停に向かおうと一層歩幅を広げたそのとき、バッグの中のスマホがぶるぶると震え出した。
つい眉が寄ってしまう。メッセージの通知を知らせる場合とは違い、明らかに震え続けている。つまり電話がかかってきている。
また非通知の着信かな、とつい身構えてしまう。
破談になって以降はことさら、非通知の着信には応じないようにしているし、知らない番号からかかってきたときも調べてから応じている。ただ、数ヶ月ほど前から――特にここ一週間ほど、非通知からの着信が異様に増えていた。出なければそれまでだからこそ正体が分からなくて、なんだか薄気味悪い。
バイブ音はなかなか途絶えない。お母さんだったらいいな、と緊張を覚えつつ、私はそっとスマホを取り出す。
けれど画面を確認するや否や、素っ頓狂な声が勝手に喉を滑った。