旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
「大丈夫ですって。この間もひとりで病院に行けるか訊いたでしょう、子供じゃないんですよ私」
「そういう意味ではなく……いやそういう意味か」
「ほらー!」

 軽口めいた応酬が、私をなおさら夢見心地にさせる。
 ひとしきりふたりで笑い合ってから、ダイニングテーブルに戻っていく和永さんの背中を、ソファにだらりと身体を預けながら見つめる。
 テーブルを片づける彼の手際はかなり良い。私がいなくてもひとりで生きていける人だという印象は、この一年あまりで少しも変わっていない。実際、それは事実なのだとも思う。でも。

「どうした?」

 いつの間にかキッチンに移動していた彼に声をかけられ、はっとする。
 感傷に浸りかけていた気持ちを取り繕おうとする意思は、ほろ酔いの酩酊の中でも案外まともに働いてくれた。

「どうというか、明日お仕事の人に片づけさせちゃってる罪悪感がすごくて」
「いつもは君がしてくれてるだろ。どうだ、気持ち悪いの治まったか?」
「うーん、うん、うーん」
「どっちだ」
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