旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
 生返事をする私から目を離せなかったのか、彼はほどなくしてソファまで戻ってきて、当然とばかりに私の隣に腰を下ろした。

「なんで隣なんですか」
「隣じゃなきゃ支えられない」
「そうかも……」

 尋ねてみても、やはり当然とばかりに返されたから、私は私で流されるようにして納得してしまう。

「面倒見いいんですね」
「いや別に普通だと思うが」
「和永さんってどうして警察官を目指したんですか」
「話だいぶ飛んだな」

 酔うとこんな感じなのか、と苦笑いされながら髪を梳かれる。
 避けることもできたのに、私はそうしなかった。酔いのせいにしたまま、まだこの夢見心地の中を漂っていたかった。

 だって、まるで本当の夫婦みたいだ。今日の私たちは。

(……本当の夫婦ってなんなんだろう)

 私たちは、なんで本当の夫婦じゃないんだっけ。
 胸の奥がひりひりして、けれど私はそれを無視した。せめて今は、髪を撫でる指にだけ意識を向けていたかった。
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