旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
「市条本部長……叔父様からすでに伺っているとは思いますが」
「は、はい」
「何分、自分が属しているのは古い体質の組織です。昇進を控えているとはいえまだまだ若輩者で、もし市条本部長の姪御さんと結婚できるならこの上ないご縁だと考えています」
なにを言われるのかと身構えていた緊張が、ほんの少し緩む。
彼がこのお見合い話に前向きだという叔父の話は、誇張や憶測の類ではなかったらしい。この人は本当に私との結婚を望んでいる……ただ。
「先ほどの質問へのお返事ですが、自分はこの齢までひたすら職務に明け暮れてきただけの、女性から見ればおそらく相当につまらない男です。これまでも上司や同僚から何度か女性を紹介されてきましたが、そういった方々を自分の仕事や予定よりも優先することは一度もできませんでした」
ひゅ、と鳴りそうになった喉を、なんとか息を呑むことで抑える。
いつしか私からまた目を逸らしていた能見さんは、眉間に寄せた皺を隠そうともしていない。私の相槌なんてはなから求めていないらしい。
「結婚を理由に、自分が仕事を最優先する生活を改めることはないと思います。ですので、仮に色良いお返事をいただけたとしても自分にはなにも期待しないでいただきたく」
――特に愛情に関しては、期待されてもお応えできません。
「は、はい」
「何分、自分が属しているのは古い体質の組織です。昇進を控えているとはいえまだまだ若輩者で、もし市条本部長の姪御さんと結婚できるならこの上ないご縁だと考えています」
なにを言われるのかと身構えていた緊張が、ほんの少し緩む。
彼がこのお見合い話に前向きだという叔父の話は、誇張や憶測の類ではなかったらしい。この人は本当に私との結婚を望んでいる……ただ。
「先ほどの質問へのお返事ですが、自分はこの齢までひたすら職務に明け暮れてきただけの、女性から見ればおそらく相当につまらない男です。これまでも上司や同僚から何度か女性を紹介されてきましたが、そういった方々を自分の仕事や予定よりも優先することは一度もできませんでした」
ひゅ、と鳴りそうになった喉を、なんとか息を呑むことで抑える。
いつしか私からまた目を逸らしていた能見さんは、眉間に寄せた皺を隠そうともしていない。私の相槌なんてはなから求めていないらしい。
「結婚を理由に、自分が仕事を最優先する生活を改めることはないと思います。ですので、仮に色良いお返事をいただけたとしても自分にはなにも期待しないでいただきたく」
――特に愛情に関しては、期待されてもお応えできません。