旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
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 水曜。
 休診日の前日でもある今日は、衛生士の()(とう)さんから飲みに行かないかと誘われていた。

 メンバーは伊東さんと副院長、板戸さん、そして私の四人だと聞いていた。
 ところが、当の本人である伊東さんが急遽参加できなくなってしまったから、元来お酒がほとんど飲めない副院長に合わせて予定は食事会に変更になった。

 板戸さんが『ご飯だったらあたし行きたいお店あるんですよね』と切り出したのは、副院長をフォローしてのことだと思う。彼女はいつも本当によく周りを見ていて、気遣いも上手だ。尊敬してしまう。
 飲酒に関しては自戒の気持ちが育っていたから、私は私で、ご飯だけの会になってくれてむしろありがたかった。

 板戸さんがお昼休みのうちに予約しておいてくれたのは、半個室のお座敷の、ゆったりと創作和食料理を楽しめるお店だった。
 お酒はからきしでありながら健啖家ではある副院長も、終始楽しげに見えた。
 彼と板戸さん、それぞれの業務や課題の話、なんなら多少の愚痴も飛び出しつつ、私は基本は聞き役でお食事を楽しませてもらった。
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