旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
 例えば、友達や知り合いに警察官がいるのだろうか。
 板戸さんはプライベートの話をほとんどしないから、察しがつかない。

「あたし、姉がいて」
「はい」
「姉、もう三年くらい警官と……まぁ付き合ってんのか付き合ってないのかよく分かんない感じなんですけど、まぁ傍から見てると公務員ってそういうもんなのかなって。友達にも警官と付き合ってた子がいて、昼も夜も仕事の呼び出し多くてなかなか会えないって愚痴ってたし」

 淡々と喋り続ける板戸さんの顔を、なんだかうまく見ていられなくなる。
 俯きがちに、私は返事の言葉をひねり出した。

「それは……確かにそう、かもしれないですね」
「へえ、やっぱそうなんだ? でも能見さんは旦那さんのことちゃんと支えてるんでしょ、すごいと思いますよ」

 曖昧な返事に褒め言葉が返ってきてしまって、そのせいで急に胸の奥がじくじくと疼き始める。

(……すごいことなんて、なにも)

 なにもない。
 だって、私は。
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