旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
「お勤めのお花屋さんの前の道、私の通勤路で……たまに和永さんが寄ってるところを見かけたりしてまして」
「あっ、もしかして詫び花束のときですか?」
意を決して切り出した話に思わぬ言葉が返ってきて、私はまたも目を点にしてしまう。
(詫び花……なんて?)
初めて聞く言い回しのせいで一瞬フリーズした頭に、結婚記念日の翌日に渡された鮮やかな薔薇の花束が蘇る。
ああ、言われてみればあれは確かに〝詫び花束〟なのか、と一拍置いてから謎の納得を覚えた。
「ふふ、あのとき本当めちゃくちゃ焦ってましたよあいつ。よっぽど奥さんに嫌われたくなかったんだろうなって感じ」
綺麗だったでしょあの花束、とびきりいい花選んだんですよ、と優しく笑う榛奈さんを見つめながら、ぴくりと唇が震えてしまう。
「そんなはずは。私たち、本当にその、仮面夫婦みたいなものでして」
「えっ、そうなんですか?」
「……はい。お互いに干渉しないようにって約束して結婚したんです、……私の叔父が県警の本部長で、その関係でのお見合い結婚で」
『私がいてもいなくても、あの人はきっと困ったりしないから』
胸がズキズキする。
ここを訪れるまでの道中、板戸さんに言い訳したときと同じ痛みだ。
「あっ、もしかして詫び花束のときですか?」
意を決して切り出した話に思わぬ言葉が返ってきて、私はまたも目を点にしてしまう。
(詫び花……なんて?)
初めて聞く言い回しのせいで一瞬フリーズした頭に、結婚記念日の翌日に渡された鮮やかな薔薇の花束が蘇る。
ああ、言われてみればあれは確かに〝詫び花束〟なのか、と一拍置いてから謎の納得を覚えた。
「ふふ、あのとき本当めちゃくちゃ焦ってましたよあいつ。よっぽど奥さんに嫌われたくなかったんだろうなって感じ」
綺麗だったでしょあの花束、とびきりいい花選んだんですよ、と優しく笑う榛奈さんを見つめながら、ぴくりと唇が震えてしまう。
「そんなはずは。私たち、本当にその、仮面夫婦みたいなものでして」
「えっ、そうなんですか?」
「……はい。お互いに干渉しないようにって約束して結婚したんです、……私の叔父が県警の本部長で、その関係でのお見合い結婚で」
『私がいてもいなくても、あの人はきっと困ったりしないから』
胸がズキズキする。
ここを訪れるまでの道中、板戸さんに言い訳したときと同じ痛みだ。