旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
衝撃的だった。
愛のない結婚を強いられている、不毛な生活にわざわざ付き合ってあげている――そういう考え方を、今まで私はただの一度もしてこなかったから。
「し、強いられた……という、わけでは」
「そうかな。普通は嫌じゃない? そんな冷めた結婚生活」
「それは……でも私も、『誠実であってほしい』っていう条件を呑んでもらってますし」
「えっ、誠実であることって当たり前じゃない? 夫婦なんですよねおふたり?」
微かに眉を寄せて尋ねてくる榛奈さんは、目に見えて驚いていた。わざとらしくも演技っぽくもない、純粋な驚き方にしか見えなかった。
当たり前。確かにそうなのかもしれない。反論ができない。
図らずもフラットな意見に触れてしまい、頭が派手に混乱する。私たち夫婦が一般的な夫婦から懸け離れているという事実を、改めて思い知らされる。
榛奈さんのまっすぐな視線を受け止めきれない。
思えば、和永さんもこういう目で私を見ていることがある。全部見透かすようなふたり分の視線が不意に重なった気がして、私は密かに息を詰める。
「仮面夫婦のままでいいって、薫子さんは今も思ってるの?」
愛のない結婚を強いられている、不毛な生活にわざわざ付き合ってあげている――そういう考え方を、今まで私はただの一度もしてこなかったから。
「し、強いられた……という、わけでは」
「そうかな。普通は嫌じゃない? そんな冷めた結婚生活」
「それは……でも私も、『誠実であってほしい』っていう条件を呑んでもらってますし」
「えっ、誠実であることって当たり前じゃない? 夫婦なんですよねおふたり?」
微かに眉を寄せて尋ねてくる榛奈さんは、目に見えて驚いていた。わざとらしくも演技っぽくもない、純粋な驚き方にしか見えなかった。
当たり前。確かにそうなのかもしれない。反論ができない。
図らずもフラットな意見に触れてしまい、頭が派手に混乱する。私たち夫婦が一般的な夫婦から懸け離れているという事実を、改めて思い知らされる。
榛奈さんのまっすぐな視線を受け止めきれない。
思えば、和永さんもこういう目で私を見ていることがある。全部見透かすようなふたり分の視線が不意に重なった気がして、私は密かに息を詰める。
「仮面夫婦のままでいいって、薫子さんは今も思ってるの?」