旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
(切らないほうが良かったのかな)
後になって緊張が湧き起こる。非通知の着信のみならず、つけられていることまでこの男の所業だったとしたら、私ひとりで太刀打ちできるものなのか……いや、実家は目の前だ。すぐに逃げられるはずだ。
この男の目的が分からない。私個人に執着している様子は、婚約していた当時さえ薄かった。そんな男が、一体なんのためにこんなことを。
ぎ、と視線に強い警戒がこもる。
「名前で呼ばないでいただけますか。馴れ馴れしい」
「え~、じゃあ〝斎賀さん〟?」
ぴく、と肩が跳ねる。
旧姓で呼ばれるとは思わなかった。比留川は東京を離れたのは、破談になって間もなくだ。私が結婚したことを知らないのだろうか。
「いつ東京へお戻りに?」
地方に飛ばされましたよね確か、というニュアンスで嫌味を込めて伝える。すると、比留川はようやくへらへらした態度を引っ込め、分かりやすく顔をしかめた。
「去年の暮れだね。仕事、辞めたから」
「それは大変でしたね」
「嫌なこと言うじゃん、キミのせいでしょ」
自業自得だろうが、と思わず強い言葉が飛び出しそうになった口を、私はかろうじて堪えた。この夜分に、あまり大きな声を出してご近所に迷惑をかけたくない。
後になって緊張が湧き起こる。非通知の着信のみならず、つけられていることまでこの男の所業だったとしたら、私ひとりで太刀打ちできるものなのか……いや、実家は目の前だ。すぐに逃げられるはずだ。
この男の目的が分からない。私個人に執着している様子は、婚約していた当時さえ薄かった。そんな男が、一体なんのためにこんなことを。
ぎ、と視線に強い警戒がこもる。
「名前で呼ばないでいただけますか。馴れ馴れしい」
「え~、じゃあ〝斎賀さん〟?」
ぴく、と肩が跳ねる。
旧姓で呼ばれるとは思わなかった。比留川は東京を離れたのは、破談になって間もなくだ。私が結婚したことを知らないのだろうか。
「いつ東京へお戻りに?」
地方に飛ばされましたよね確か、というニュアンスで嫌味を込めて伝える。すると、比留川はようやくへらへらした態度を引っ込め、分かりやすく顔をしかめた。
「去年の暮れだね。仕事、辞めたから」
「それは大変でしたね」
「嫌なこと言うじゃん、キミのせいでしょ」
自業自得だろうが、と思わず強い言葉が飛び出しそうになった口を、私はかろうじて堪えた。この夜分に、あまり大きな声を出してご近所に迷惑をかけたくない。